少女終末旅行 最終回「接続 仲間」を見ました。

やはり人類は、自己進化するAIを開発していた。現代の世界の国が自衛のために核兵器を持つように、ウクライナがコスパの高いドローン兵器を活用したように、機械学習の知能指数は量子コンピューターの扱えるビット数が増えるたびに人間の脳に肉薄し、そして人間のそれを超えた。

もはや、誰もが人間以上の知能を持ったAIを使用することができていた。ハンターハンターのバラのように、100万円出しさえすればいい。セキュリティはAIの知能が人間のそれを上回ってからは、人間がどうこうできる問題ではなくなっていた。

人間は手間を掛けず、安価に機械が機械自身を生み出すための自己進化工場を設営した。経営者と国のトップはその安全性を高らかに掲げていたが、それは、人の生活をより良くするのと同時に、より簡単に人類を滅ぼせてしまうことの変更不可のマイルストーンの布石だった。

人類の人口はこの時も増え続け、200億人を突破した。人口減少の問題は、倫理観を経済事情が上回ったために試験管ベビーが解決してしまった。日本もまた、母が母体を痛めずとも子供が産めるようになってしまったのだ。

20XX年、気候変動がいよいよ厳しくなってきた。海面上昇が予定よりも早く進み、陸地が狭まってしまったのだ。次いで爆発的に増加する人口と、水資源の枯渇が起き、いよいよ地球の資源だけで人類をまかなえなくなってしまった。

戦争が起きた。ウクライナはドローンを使って対抗していたが、20XX年の戦争はより洗練された人口AI機械ロボット同士の戦いになった。1時間に500個自動生産される高性能ドローン、1ヶ月で1体自動生産される地域殲滅用高火力ロボット。いつしか映画でしか見られなかった巨神兵が作られ、彼らは保身と安全が保証され宇宙へ逃げ出したトップの署名一つだけで、民意も議論も交わされないまま緊急事態宣言だとして稼働を許可する最終決定を下した。

巨神兵はひたすらに滅ぼしていったが、地球を更地にしてしまうほど焼き尽くしはしなかった。人類は地下シェルターに身を潜めていたが、破滅進行AIプログラムによってその場所を突き止められてしまった。

その様を見守っていたチンアナゴ風宇宙人がついに動き出した。人類に有害な影響を及ぼしているロボットの心臓を撃ち抜き停止させ、彼らが言葉を交わす際に利用している自律型8G通信網の全てを傍受・解読し、一言でもAIロボットが通信を漏らそうものなら、居場所を突き止めて殲滅していったのだ。彼らは月でうさぎが突いていたおもちそのものだった。地球の表面から内部まで、彼らの惑星fMRIはその全てを見通していた。

チンアナゴ風宇宙人たちには機械たちのそれと違い、慈悲を持っていた。人類のかろうじての存続に従事する、思考機能を限定した管理ロボットに関してはしばらくの猶予を与えた。そしてヌコたちのような、「人間の業を食べ尽くす特殊生命体」を派遣し、人類の破滅に何役も買っていた兵器のみを、壊死した人の皮膚だけをきれいに食べる幼虫のように、巧みに消化していった。

200億人居た人類は、チンアナゴ風宇宙人がその全てを意識データ化し、量子仮想空間サーバーの中に移送させたのだった。200億の人類は、そのサーバーの揺りかごの中で暮らすことになったのだった。チンアナゴ風宇宙人は、この宇宙に於ける輪廻転生システムを把握していたので、またどこかの惑星に生命が誕生する時のための転生意識体として、人類を保管する計画を維持運営し続けたのだ。

人類は成功するのか、それとも、失敗するのか。
その未来は私たちも、チンアナゴ風宇宙人たちも知らない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です