天廻天則 人故生死

病む風に陽が手を当てる
重く低空をさ迷う
嘆きにも似た錆声を上げながらも
心地の良い撫で手に 凝り固まった分銅を解きほぐされ
執着にも似た
小さな重力の澱に太陽の陽が触れられると

あぁ
何かを思い出したように

病む風は広く渡る風の気流に手を取り合いながら
雲の濾し機を過ぎていく

病はそこで雨と漉されるために
涙を落とすかのように
はたり はたりと
澱の染みた分解液を

手に取り
手に取り合い
手から手へと渡して
両手から海へと手渡されていく

風から病が離たれ
自由になった風は 落とした雨の行く先を見守るように
夜のように閉じ 朝のように開くように
広く渡る風の気流の中

廻(めぐ)りながら時を歩む
最中に共に今もまた
風は吹いている どの今にもまた
風は吹いている

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